ちょっと前までHDDの読み書きがPCのボトルネックと言われていましたが、SSDの登場によって随分と変わったように思います。
最初は高価なものでしたが各社が技術と価格の競争をしていて、価格も落ち着いて来ています。
今後はSSDの低価格化、大容量化が進み、HDDよりも普及が進んで行くことは間違いないでしょう。
そこで今回はHDDからSSDに変更することによって、どれだけ業務の効率化が見込めるか実際に業務アプリを動作させてみて調査、検証を行いました。
SSDとHDDの違い
SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)はUSBメモリのようにデータの読み書きを行います。
それに比べてHDDは高速回転しているディスクにデータの読み書きを行います。
SSDの方が読み書きが速く、HDDのように回転している部分が無いので省電力、低発熱、振動に強い等の利点があります。
欠点として、データ容量大きいものは価格が高い事が挙げられます。
2014年10月現在、2TBのHDDが8,000円ほどで買えるのに対し、512GBのSSDが30,000円ほどとなっております。
SSHD(ソリッド・ステート・ハイブリッド・ドライブ)とは
SSDの利点とHDDの大容量を実現するものです。例えばSSD8GBとHDD1TBを組み合わせたストレージで、よく使うデータ(OSやアプリケーション)、最近使われたデータ等はSSDの部分に保存され、そうでないデータはHDD部分に保存することによって、データの読み書きを速くした上で大容量を実現できます。
検証前調査と準備
今回は
ちょっと前のPCでありがちな「Core 2 Duo」のCPUが載っているPCにWindows8を新規インストールして検証を行います。
・3.5インチHDD320GB(もともと搭載されていたもの)
・SSD 256GB(CFD:CSSD-S6T256NHG6Q)
・SSHD 1TB(Seagate:ST1000LM014)
の3つにおいて、
ビジネスパソコンで使った場合の動作について業務の効率化の面から検証を行おうと思います。
Windows7や8ではOS自体がSSDを最適に利用できるような機能がはじめからあるそうです。
また、Core 2 Duo世代のPCでは最新のSATA3.0というデータ転送規格に対応していないのでSSDの性能を十分に発揮できないようですが、それでもHDDに比べて速度の改善は見込めるそうです。
検証結果
まずは各ストレージの性能比較
圧倒的にSSDの方が速い!
SSDとHDDの比較においてはどれも圧倒的にSSDの方が速いようです。
HDDとSSHDの比較では、一部書き込みについてHDDよりもSSHDの方が遅い部分があります。
これはHDDが7200rpmに対しSSHDが5400rpmであるため、データをディスク部分に書き込んだ場合はHDDの方が速いと言うことでしょうか。
続いて
PCの起動と終了、ビジネスソフトウェアの起動時間とエクスペリエンスインデックスも掲載しておきます。
HDD | SSHD | SSD | |
エクスペリエンスインデックス ディスクのデータ転送速度 |
5.9 | 5.9 | 7.3 |
PCの起動 | 31秒 | 22秒 | 16秒 |
PCの終了 | 8秒 | 7秒 | 4秒 |
Office2010 (Word、Excel、PowerPoint) |
3秒 | 3秒 | 1.5秒 |
Adobe Illustrator CS5 | 39秒 | 31秒 | 9秒 |
Adobe Photoshop CS5 | 22秒 | 15秒 | 8秒 |
PCの起動(OSの動作)について
快適さは数字以上に実感できる!
体感でも分かるほどSSDは速いです。
また、HDDは起動したあともカリカリ何かを読み込んでる状態でしばらく動作が重い感じがしました。
SSHDはHDDとそれほど変わらないような数値ですが、動作のひとつひとつはSSDに近いものがあり、HDDのようなカリカリもなく、サクサク動いている気がします。
SSHDの速い部分にOSがうまく載っているのでしょうか。
結果と考察
HDDと比較してSSD/SSHDの速度、快適さは数字以上に実感できると思います。
HDDではアプリの起動や切り替えなど、常に何かしら読み込んだり書き込んだりしている感じがして全体的に動作がもたついているようです。
OfficeやAdobeソフトについて
重いアプリでの起動速度はSSDがとても速い!
Office製品は同じマイクロソフトなのでWindows8との相性が良いのか、HDDでもSSD/SSHDでも起動は問題なく速いです。
起動よりも保存を行う際にSSDはやっぱり書き込みが速いなーと感じました。
Adobe製品はIllustratorとPhotoshopの起動速度を測ってみました。
重いアプリでの起動速度はやはり読み込みの性能に比例してSSDではとても速い結果となりました。
SSHDではアプリの容量が大きいのかディスクの箇所に保存されているらしく読み込みはHDDとそう変わらない結果となりました。
SSHDは良く使うアプリが速い部分に保存されるよう最適化が進むらしいので、しばらく使っているとまた違った結果になるかもしれません。
結果と考察
OfficeはHDDでも普通に速いが、保存の際はやはりSSDが速い結果となりました。
Adobe製品など重いアプリでは起動だけでなく、次々に画像を開いたり保存したり貼り付けたりと実運用ではSSDが圧倒的と感じました。
SSHDは数値の面で振るわない結果ではあるのですが、OSがサクサク動いている分HDDと較べても体感速度は良く、データ配置の最適化が進めばもっと良くなるのではないかなと思いました。
検証環境の構築について
今回の検証にあたり各ストレージでの検証環境を用意する際のインストールにかかった時間もあわせて載せておきます。
(Windows Updateや各ソフトウェアの更新の時間は省いておりますが、実際には更新ファイルのダウンロードに時間がかるためにこのアップデートの時間が大半を占め、1ストレージにつき4~5時間かかっています。)
HDD | SSHD | SSD | |
Windows8 64bit | 27分 | 12分 | 9分 |
Office2010 | 18分 | 19分 | 7分 |
Adobe CS5 WebPremium | 40分 | 28分 | 16分 |
全てインストールディスクからインストールを行っております。
結果としてはやはりSSDが速く、SSHDもそこそこ速い形となっております。
SSHDはSSDの部分をキャッシュとして使うようですので、インストール時の一時ファイルの置き場として使うことで高速化につながった可能性があります。
この事は、弊社がお客様へPCをセットアップして納品する際の作業効率のアップに繋がるのではないでしょうか?
もちろん実際にPCをご利用になるお客様が速いPCを使えるということが最大の利点ではありますが。
結果のまとめ
SSDについて
OSがサクサク動く事によってPC全体の動きが劇的に改善されているように思います。
HDDでは数年使っていると全体的に動作が重くなってしまったりすることが多いですが、SSDにすることでその辺も改善されるのではないでしょうか。
SSDの唯一の弱点は容量ですが、昨今業務の現場ではファイルサーバ上に重要なデータを置いておく事が多くPC本体に保存するデータは一時的なものであったり、
メールのデータくらいなのでデジカメの画像をマイピクチャに貯めこんでいくといったような使い方でなければ問題は無いと思います。
SSHDについて
SSDと同様、PC全体の動きが改善されています。「速さも欲しいし、大きなデータをPCに置いておきたい」と言う用途に良いと思います。
しかし、SSDに大容量と言うイイトコ取りといった感じではあるのですが、「HDDよりは確実に良いが容量問題がクリアできるならSSDで良い。」ということが言えると思います。
一時期「PS4に載せるのが良いらしい。」と話題になりましたが、SSHD自体あまり種類がなく、手軽に入手できるのは今回のSeagate製と東芝製の2つくらいしかありません。
SSDの容量の大きい物が安くなっていけば収束していってしまうのでは無いでしょうか。
各社ともSSDの技術開発の方に力を入れているのかなと思います。
SSD導入による業務改善
検証の結果により、SSDを導入することによりPCを使った全ての動作が速くなると言えると思います。
仮にSSDの導入で「1日5分」節約が出来たとします。企業平均年間休日(休暇)110日とし、255日を出勤日とすると、
5(分)×255(日)=1,275(分)=21.25(時間)
となります。いち社員が21時間仕事に費やすことによって生み出す利益を考えると、SSDを導入するのにかかる費用は簡単に取り戻す事ができると思います。
しかも、PCを使って仕事をする社員が10人、20人、30人といらっしゃる場合はどうでしょうか?
年間を通して大きなプロジェクトをひとつふたつ余分に出来るかもしれません。
「時は金なり」と良く言いますが、PCで作業をすることが増えた昨今、PC作業の効率化が企業の売上、利益向上につながるといえるのではないでしょうか?
最後に
今回デスクトップ型PCの業務改善目的としてSSD/SSHDの検証を行いました。
デスクトップに限らず、SSDの利点である「低発熱、省電力、耐震性」についてはノートPCに向いていると思います。
ノートPCはHDDの入れ替えが難しいものがあったりするので、今後新しく買うときにはSSDが載っている状態で購入するのが良いかもしれません。
また、ひと昔前のatomやCeleronを使っていたモバイルPCなど、低スペックノートPCはSSDと新しいOSでまだまだ使えるPCになるのではと思います。
また機会があればちょっと昔のノートPCにSSDを入れてみたいと思います。