このブログでは主にYAMAHAルータのRTX1200やRTX1210を使用した内容を紹介してきました。今回は2017年10月に発売されたRTX830についてお話したいと思います。
最近のYAMAHAルータはインターネット接続設定、VPN設定がブラウザから簡単に設定ができるようになりました。以前はブラウザからではなくコマンドを調べながら1行づつ設定していたのでとても便利です。今回設定するRTX830もブラウザから設定を行うことができました。
設定内容
今回RTX830を設定する内容です。
- インターネットへの接続
- 外部から社内へPPTPを用いてVPN接続
- PPTP接続した時にルータから割り当てられるIPアドレスは特定のIPアドレスの範囲内(192.168.1.230-192.168.1.249)から割り当てる
「1」と「2」に関してはブラウザから問題なく設定ができましたが、「3」に関しては設定する項目がどこにもありませんでした。
コマンド(CLI)で設定確認
そこで現在の設定を確認するため今までどおりの方法であるTelnetを使ってコマンドから現在の設定を確認しました。確認した内容が下記になります。
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ip pp remote address pool dhcp dhcp service server dhcp scope 1 192.168.1.101-192.168.1.200/24 expire 48:00 |
上記は外部からPPTP接続した時ルータから割り当てられるIPアドレスは、ルータがDHCP サーバとして割り当てる IP アドレスの範囲内になります。
つまり、「192.168.1.101~192.168.1.200」の範囲内のIPアドレスになります。
(例えば、「192.168.1.101」や「192.168.1.150」などです。)
今回は「特定のIPアドレスの範囲内(192.168.1.230-192.168.1.249)から割り当てる」ようにしたいので、「ip pp remote address pool dhcp」の箇所を変更する必要があります。
設定変更
Telnetでログイン後、「ip pp remote address pool dhcp」を下記のように変更します。
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ip pp remote address pool 192.168.1.230-192.168.1.249 |
がそこでエラーが発生しました。
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# pp select anonymous anonymous# ip pp remote address pool 192.168.1.230-192.168.1.249 エラー: パラメータの数が不適当です anonymous# |
エラー内容を確認すると指定したIPアドレスの範囲が不適当という内容でした。
YAMAHAの下記サイトで確認したところ「ip pp remote address pool」で設定できるIPアドレス数はRTX830の場合、「32」個でした。
リモート IP アドレスプールの設定
http://www.rtpro.yamaha.co.jp/RT/manual/rt-common/ip/ip_pp_remote_address_pool.html
今回は「192.168.1.230~192.168.1.249」の「20」個なので設定できるはずでしたが、ルータ再起動、初期化、を行い入力しても結果は同じでした。
YAMAHAへの問い合わせ
そこでYAMAHAのサポートへ問い合わせを行いました。
結果からお話すると今回の件はバグということが判明しました。サポート担当者もRTX830を実際設定したところ同じ現象が発生したということで、今後提供するファームウェアで対応するとの回答を頂きました。
今回の設定でIPアドレスの範囲は「192.168.1.230-192.168.1.249」の20でなくても問題はなかったので「192.168.1.230-192.168.1.240」で設定を行いました。
まとめ
今回はファームウェアのバグという問題に直面しましたが、ブラウザからでは設定できない細かい設定変更が必要だった為に起きた問題でもありました。問題自体はYAMAHAのサポートへすぐに問い合わせすることで解決できました。ファームウェアのバグについてもYAMAHAからの回答で今後提供するファームウェアで修正するそうです。
ブラウザで設定できる項目が以前より増えたことで簡単に設定することができますが、細かい設定まではまだまだできません。前回紹介したL2TPv3/IPsecトンネル機能を使った2つの拠点間を同一のIPアドレス帯でネットワークを構築するはその一例です。
また、本来であればブラウザで設定するのであれば全てブラウザから設定を行い、Telnetなどでコマンドから設定を加えてはいけません。
なぜならコマンドで設定の追加・変更をしたあとに、ブラウザから設定の追加・変更を行うとコマンドで追加・変更した箇所が消えてしまう場合があるからです。
便利になった分、注意しなければならない部分も増えるので気を付けたいものです。