今回は、AIが架空の人物を生成して肖像権を気にせず使うことが出来る「AI人物素材(ベータ版)」の紹介をさせていただきます。
提供するACワークス株式会社は無料素材サイトで有名な「イラストAC」「写真AC」などを運営している会社です。
AI人物素材の仕組み
GAN(Generative Adversarial Network:敵対的生成ネットワーク)を用いて、実在しない人物の顔を生成しているそうです。
GAN(敵対的生成ネットワーク)とは?
生成ネットワーク(generator)と識別ネットワーク(discriminator)の2つのネットワークから構成される。
例として画像生成を目的とするなら生成側がイメージを出力し、識別側がその正否を判定する。
生成側は識別側を欺こうと学習し、識別側はより正確に識別しようと学習する。
このように2つのネットワークが相反した目的のもとに学習する様が敵対的と呼称される所以である。
とのこと。
そのGANを利用したシステムは他にも沢山あります。
参考:
・同じく架空の人物を生成するシステム
この世界に存在しない人物の画像をワンタッチで簡単に生成できる「This person does not exist」 | GIGAZINE(こちらは海外のシステムで、素材として利用可かは明示されていません)
・その他のGAN利用事例
AIの出力した肖像画が約4800万円で売れる。 | ギズモード・ジャパン
GAN:敵対的生成ネットワークがヤバイ。驚愕のAI(機械学習)事例12つ | AIZINE(エーアイジン)
ITの発展には驚かされるばかりです。
AI人物素材(ベータ版)とは?
許可を得た写真だけを集め、それをAIが学習し、架空の人物画像を生成した素材です。
商用利用可、改変・加工可でクレジット表記も必要なく、肖像権を気にせず安全に利用できます。
ただし不道徳な目的や、「お客様の声」などに使用するのは禁止です。
そのほか詳しい利用規約はこちら
素材の生成は無料でできますが、ダウンロードはプレミアム会員(個人だと月額1,066円(税別)~)の有料登録が必要です。
法人プランは一人年間1万円程度となっております。詳しい法人価格はこちら。
※色々な紹介記事でAI人物素材は無料と書かれていますが、ダウンロードはプレミアム会員限定のため実質有料です。
ダウンロード画像はPNGでサイズが元々256×256pxでしたが、
バージョン2が公開され512×512pxに上がりました。
ある程度品質が安定した生成済みの素材が162枚あり(2019/10/03現在)
それとは別に1アカウント1日50回まで人物を生成できます。
「※ただいま研究中のため、品質に問題があります。利用可能な場合のみお使いください。」
と案内がある通り、実際の画像を見てみると不自然な人物になる時もありますが、
加工可なので画像加工ソフトで微調整すれば使えそうです。
人物素材はモデルの数が少なく、特に日本人だと同じ人物ばかりになってしまいがちですが、
ACワークスのAI人物素材は日本人の素材も多く、使いやすくなっています。
メリット・デメリットとしては…
メリット
・商用利用可
・改変・加工可
・クレジット表記不要
・被写体から肖像権の使用許可を撤回されるなどの心配がない。
・日本人の素材が多い。
デメリット
・ダウンロード前に生成し直すと、前の画像は消えてしまう。
・顔だけなので、何かをしているときの画像が欲しいときなどには使えない。
・男性・女性・日本人・年齢などのカテゴリーが指定できない。
・眼鏡やサングラスなどをしている人がいない。(歪んでしまうからでしょう)
・使用用途に制限が多い。(お客様の声などに使用禁止など、悪用防止のためか用途制限は厳しくなっています。)
…etc.
やはり、被写体から使用許可を撤回される心配がないメリットは大きいですね。
顔だけなので用途は限られますが、まだ始まったばかりのサービスなので、これからの改善に期待したいです。
まとめ
サンプルとして顔だけの画像が使いたいなど、今はまだ限定された場面でしか画像そのままの実用は難しいかもしれませんが、運営会社は人種・年齢のほか全身や喜怒哀楽にも対応していきたいとのことなので、今後の展開が楽しみです。