キャッシュレス決済の推進がもたらす「スマホ決済」ブームは、
毎日の生活に定着しつつ、当初の盛り上がりは落ち着いてきたようです。
スマホ決済先進国とも言われる中国は、近年すでに「刷脸支付(シュアリャンジーフウ)」(顔決済)に注力し始めています。
「刷脸支付」(顔決済)ってどんなものなのか
「顔決済」はその名の通り、支払いを行う際に、店舗に設置している端末で利用者の顔を識別し、決済を完了するという決済方法です。
支払い媒体(現金やカード、スマホなど)を介することなく、素早く決済できます。
「顔決済」を店舗で使えるようにするには
・利用者側の設定
①「顔決済」の利用者は、予め「顔決済」システムと連携するスマホAPP内で顔の登録を行います。
登録方法はiPhoneのFace ID設定と似ています。
カメラを起動し、枠内に自分の顔が収まるように調整します
↓
指示に従ってまばたきしたり、顔を上下左右に向けたりします
↓
登録完了
②APPの「支払い設定」にて、「お店で顔決済」項目をONにします。
登録した顔は原則変更不可となっています。
※ それについてアリペイのサービスセンターに問い合わせてみました。
どうやら顔認証の参照先データは、戸籍課で身分証明書を発行する際に登録された写真となり、APP内で登録する顔情報はただの補助用だそうです。
そのため、整形などによる顔の変化があった場合、APP内ではなく、まず戸籍課の窓口に行ってそちらの写真を変更する必要があるそうです。
・店舗側の設備導入
顔決済を導入するには、専用カメラ付きの端末が必要となります。
現在市場で展開している端末の種類は主に「タブレット型」と「セルフレジ一体型」の2種類があります。
タブレット型
タブレット型は店舗既存のレジシステムと連動できます。その代わりにレジスタッフによる操作が必要です。
セルフレジ一体型
セルフレジ一体型は既存のレジシステムとは別で、独立したレジシステムとなります。
商品のスキャンから決済まですべて利用者ひとりでできます。
使い方
「顔決済」を利用する際の流れはスマホ決済と基本同じです。
・顔 + 携帯番号
商品コードをスキャンした後、「顔決済」で支払う場合は、端末のフロントカメラが起動します。
顔の認証ができたら、さらに悪用防止のため、予めAPPで登録された携帯番号の入力が求められます。
※同じお店の利用頻度等のデータによって、携帯電話フル番号、末尾4桁のみ、入力必要なし、3つの認証レベルがあるようです。
・認証失敗の場合
顔認証が失敗した場合、スマホ決済または現金払いで支払うことが可能です。
実際店頭でいたずらやテストをする方はいらっしゃいましたが、識別の精度が予想以上だとあるお店の店員さんから教えていただきました。
でも失敗する例もあります。例えば双子。
2019年に日本で双子での顔認証実験を行ったことがあるようですが、高い確率で双子の識別ができませんでした。
顔認証システムは双子を見分けられるのか?(後編) (Impress Watch より)
中国でも自動販売機で実験した双子がいました。結局弟がお兄さんと認識され、お兄さんの電話番号で買い物できました。
動画リンク(好看视频 より)
そういうリスクがある場合は、念のため顔決済をOFFにしましょう。
最後に
急速に拡大する中国の「顔決済」は、生活がもっと便利になる一方で、プライバシーやセキュリティーに不安を感じる人も多いでしょう。
大企業のシェア獲得や事業拡大のために私達の「顔情報」を収集し、別の事に利用されてしまうかもしれないという心配もあります。
「便利さ」をとるか「安全性」をとるか、私達は今、選択を迫られています。
日本ではこのようなサービスは慎重に進める印象があります。
タブレット型であれば安価に導入できそうですので、試験的に始めてみて利用者の意見を聞くなどしてみても良いのではないでしょうか。