ルータやNASに10Gbps対応製品が増え、10Gbps化を検討されている方もいると思います。
今回は社内通信を10Gbps化にあたり押さえておきたいポイントを説明いたします。
確認ポイント
10Gbps化にあたり下記が10Gbpsに対応している必要があります。
- 10Gbpsに対応したLANケーブル
- 10Gbpsに対応した端末
- 10Gbpsに対応したルータ、スイッチングハブ、NASなど
上記全ての条件を満たすことで初めて10Gbpsの通信が可能となります。しかしすべてを満たしても社内だけの通信が10Gbpsとなり、インターネット通信が10Gbpsになるわけではありません。
インターネット通信で10Gbpsのサービスが開始されていますがまだ一部の地域のみになるので、全国で利用できるインターネット通信は1Gbps~2Gbpsになるためです。
また、一部のLANケーブルが1Gbpsだったり、スイッチングハブに接続したポートが1Gbpsだと通信速度は10Gbpsではなく1Gbpsとなります。
下記に構成図を掲載します。
デスクトップパソコン→NASまでの経路は全て10Gbpsに対応した製品になるので速度は理論上10Gbpsになります。
ノートパソコン→NASまでの間に1Gbpsのスイッチングハブがあるので速度は1Gbpsとなります。
10Gbpsに対応したLANケーブル
LANケーブルはCAT(カテゴリ)と呼ばれる規格別に通信速度が違います。
10Gbpsに対応したLANケーブルはCAT6A以上になります。
下記にケーブル規格の表を記載します。
通信速度 | コネクタ | |
CAT5e | 2.5Gbps/5Gbps ※1 | RJ-45 |
CAT6 | 2.5Gbps/5Gbps ※1 | RJ-45 |
CAT6A | 10Gbps | RJ-45 |
CAT7 | 10Gbps | GG45/TERA |
CAT7A | 10Gbps | GG45/TERA |
ここで「あれっと」思う人がいると思います。上記のケーブル規格の表ではCAT7以上からコネクタが「GG45/TERA」になっていますが、実際CAT7以上で販売されているLANケーブルはRJ-45コネクタで販売されています。「RJ-45」は現在幅広く利用されているLANケーブルのコネクタです。
ではなぜ「RJ-45」コネクタのCAT7以上のLANケーブルが販売されているのでしょうか。
「GG45/TERA」コネクタは現在認知および汎用性が低いため、利用しやすい「RJ-45」コネクタを採用して販売されています。そのため販売されているLANケーブルにはCAT7準拠の記載があり、性能としてはCAT6A程度といわれています。
ですので現時点ではCAT6AのLANケーブルを利用するのがよいでしょう。
※1 IEEE 802.3bz(2.5GBASE-T、5GBASE-T)の通信規格が承認されたことにより、「CAT5e」および「CAT6」のLANケーブルでも2.5Gbps/5Gbpsの通信速度が実現可能となりました。
ただし、端末およびスイッチングハブなどIEEE 802.3bzに対応している必要があります。
10Gbpsに対応した端末
ここでの端末はパソコンとします。パソコンに内蔵されている有線LANの規格が10Gbpsに対応している必要があります。デスクトップパソコンやノートパソコンに内蔵されている有線LANは1Gbps対応が一般的なので、10Gbps対応イーサネットカードを別途購入する必要があります。
また、PCのストレージはHDDではなくSSDは必須です。HDDでは読み書き速度が遅いためボトルネックになってしまいます。
10Gbpsに対応したルータ、スイッチングハブ、NASなど
ルータやスイッチングハブに10Gbps対応と記載されていますが、全てのポートが対応しているのではなく一部のポートしか対応していないことが多いです。たとえば、
ルータの場合・・・WAN側ポートのみ10Gbps対応
スイッチングハブの場合・・・24ポート中2ポートのみが10Gbps対応
などです。
10Gbps対応のポート数がどのくらい必要か必ず確認しましょう。
まとめ
10Gbps対応の製品は1Gbps対応の製品にくらべると価格が非常に高くなります。また10Gbps対応のLANケーブルを採用する場合、既存のLANケーブルを全て再配線する必要があります。
非常に高い費用をかけて社内通信を速くしてもホームページの閲覧などインターネット回線を利用した時は現在とほぼ変わらない通信速度と思われます。
しかし、非常に大きなデータを扱う端末などは有効な手段となりますし、今後を見据えて徐々に準備することも大切です。
10Gbpsにこだわらず、IEEE 802.3bz(2.5GBASE-T、5.GBASE-T)に対応した機器を導入することで既存のLANケーブル(CAT5e以上)でも2.5GBASE-T、5GBASE-Tまで通信速度を上げることも可能です。全てのLANケーブルを再配線するにも費用が掛かるので有効な手段となります。
Wi-Fi機器もWi-Fi6、Wi-Fi6E対応の最上位モデルであれば通信速度が4804Mbpsとなり、Wi-Fiを利用する端末の通信速度も速くなります。それにともないLANケーブルやスイッチングハブがボトルネックになるケースもでていきます。
通信速度をアップするには機器の交換だけではなく、ネットワーク環境全体を見直す必要があります。
弊社では10Gbps化以外にも社内通信の速度アップのご相談も承っておりますのでご相談くださいませ。