「Webサイトの多言語対応はできますか?」とお客様より問い合わせをいただくことがあります。
翻訳家に依頼する方法や専門の翻訳ツールを導入する方法、最近精度も良くなってきたGoogle等の翻訳ツールを導入する方法などがあります。
今回は最も簡易的に導入ができ、導入コストとランニングコストを抑える多言語対応としてGoogle翻訳での多言語対応の導入について紹介してみたいと思います。
そもそもWebサイトの多言語対応は必要?
結論から申しますと下記の要因から「もうWebサイトの翻訳はサイト側で対処するのではなく、閲覧者が使いやすいツールを用いて必要であれば翻訳する」という時代になったのではないかと個人的には考えます。
Google、Bingのサイト翻訳ツール(サイトへ埋め込む専用ツール)はサービス終了している
Google「ウェブサイト翻訳ツール」
Bing「Bing翻訳ウィジェット」
以前はGoogle、Bingが提供する、サイトに埋め込んで簡単に導入できる専用のツールがあったのですが、
2022年12月現在、すでにサービスを終了しています。Google、Bingとしてはすでに「役目を終えたサービス」ということだと思います。
主要ブラウザは翻訳機能を搭載している
Google Chrome、Microsoft Edge、Firefox、Safariなどの主要ブラウザでは標準機能として翻訳ツールが備わっていますし、各種アドオンによってさらに便利に使うことができます。
多言語対応の注意点
当然のことですが、多言語対応するとWebからの問い合わせが外国語で届くことになります。社内に外国語でやり取りができるスタッフが居ないと多言語対応をしても意味がありません。
それでも、技術者として要望があれば多言語対応を導入する
ということで本題です。
今回はなるべく導入コスト、ランニングコストを抑える目的で「Google翻訳での多言語対応の導入」をしていきたいと思います。
要件は、
・「サイト上で言語選択をできるようにする」
・「サイト内テキストを機械翻訳(Googleの自動翻訳)する」
機能を導入したいと思います。簡易的な実装となりますので翻訳の精度は不問とします。
Google翻訳を有効化した状態で表示させるリンク
リンクの記述を工夫することで、任意のWebサイトを「Google翻訳を有効にした状態で表示させる」ことが可能です。
どの言語で表示させるかを指定することができますので、こちらのリンクを「JA / EN」といった表記にして、ヘッダーやグローバルメニューなどに設置し、簡易的な多言語対応ができます。
以下弊社サービスの「ワイドネット クラウドバックアップ」のサイトを翻訳した状態で表示させるリンクとなります。
飛んだ先のページだけでなく、サイト内の他のページへ遷移しても翻訳されます。
自動翻訳となりますので「画像内のテキストは日本語のまま」な部分はこの実装での大きなデメリットになります。
制作サイドは普段から文章は画像内に埋め込まずにテキストで実装することを心がけていきましょう。
上記リンクの記述内容
リンクタグの記述内容は以下の通りとなります。
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***** タグの記述 ***** <div> <ul> <li><a target="_blank" href="https://translate.google.com/translate?sl=ja&tl=en&u=https://www.wide.ne.jp/backup/" rel="noopener">英語 EN(English)</a></li> <li><a target="_blank" href="https://translate.google.com/translate?sl=ja&tl=de&u=https://www.wide.ne.jp/backup/" rel="noopener">ドイツ語 DE(Deutschland)</a></li> </ul> </div> |
パラメータの設定変更
パラメータ設定を変更して任意のサイトを任意の言語へ翻訳させます。
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***** リンクタグ内のURL(編集する箇所 英語の場合) ***** https://translate.google.com/translate?sl=ja&tl=en&u=https://www.wide.ne.jp/backup/ ***** リンクタグ内のURL(編集する箇所 ドイツ語の場合) ***** https://translate.google.com/translate?sl=ja&tl=de&u=https://www.wide.ne.jp/backup/ |
https://translate.google.com/translate?sl=(元の言語)&tl=(翻訳後の言語)&u=(翻訳するサイトやページのURL)
設定は「?」以降のパラメータを設定し、「&」で繋げます。日本語や英語に限らず、Google翻訳が対応している他の言語へも翻訳可能です。
sl=ja(元の言語)
tl=en(翻訳後の言語)
u=https://www.wide.ne.jp/backup/(翻訳するサイトやページのURL)
「ja」「en」などの言語名は「言語コード」と呼ばれるもので、検索すると一覧がでてきますので翻訳したい言語コードへ差し替えていただければと思います。
Google翻訳でのメリット、デメリット
メリットは
・圧倒的に導入コスト、ランニングコストは安い
・翻訳精度はどんどん上がってきているし今後も上がる
・Google翻訳だと認識されるので、翻訳精度は容認される
デメリットは
・画像に埋め込まれたテキストは翻訳されない
・翻訳の精度はGoogleに依存する
・スクリプトで表面上のテキストを差し替えているので海外での検索エンジンにヒットしない(海外SEOに難あり)
Google翻訳で多言語対応をしてみて
容易に実装できますので、導入コストを抑えたい場合には非常に有効だと思いますが、海外の検索エンジンでヒットしないという大きなデメリットがあります。
日本国内にいる外国人の方へのサービス(ホテル・旅館や観光地紹介など)はそれで良いかもしれませんが、グローバルにサービスを展開し海外でのWeb集客が必要な場合は専門の多言語対応ソリューションを導入する必要があります。
以下、有償での多言語対応のソリューションを紹介します。
有償の多言語対応ソリューション(コスト大)
翻訳家による多言語対応(多言語サイトを物理的に用意)
翻訳文字数×言語数といった形で費用がかかりますので初期導入コストは一番高いですが、安心感はあります。日本語ページとは別に外国語ページを作りますので、外国語でのSEO対策(集客)も期待できますし、別途画像制作は必要になりますが画像内のテキストも翻訳できます。
注意しなくてはいけないこととして、コンテンツの編集時にも翻訳家にお願いする必要があったり、CMSを日本語で更新していたら対応できません。
日本語と英語だけの対応であればこの手法で良いと思います。
- メリット:安心感、安定感、SEO対策
- デメリット:導入コスト、CMS対応不可、メンテナンスコスト
有償ツールによる多言語対応
弊社で導入実績のあるのがこちらの自動翻訳ツールです。基本的には機械翻訳なのですが、個別に修正したり別途オプションで翻訳家による自然な文章へも修正可能です。
また、実績多数の提供元の専門サポートも受けられます。これが一番大きいです。
日本語のサイトのテキストをスクリプトで外国語へ差し替える方式(海外SEO対策はできない)と独自URLを発行する(海外SEO対策が期待できる)柔軟なプラン設定が可能です。
ただし、オプションもりもりにすると運用コストは一番かかってしまうと思います。
このサービス以外にもAIで翻訳を行うサービスや、翻訳の専門家による有料ツールも多数あり、自治体や大手企業でも導入しています。
<<その他のサイト多言語化、翻訳ソリューション>>
「WEB-Transer」
「MYサイト翻訳」
- メリット:専門家のサポート、便利な機能多数
- デメリット:オプションやサポートを充実させるとコスト大
最後に
今回は、2022年12月時点で「Webサイトの多言語対応をしてください」と依頼が来たらどのような手段があるかを想定して調査した結果をご紹介いたしました。
用途、目的に沿った形で提案ができるよう備えることができました。
今後AIによる自動翻訳の精度はどんどん上がっていき、メガネをかけるだけですべて翻訳されるような「翻訳メガネ」だったり、眼の前にいる人の言葉を自動で翻訳してくれる「翻訳イヤホン」など
外国語を意識せずともコミュニケーションが取れる時代がやってくると思います。(個人的には5GとGoogle、Appleの技術で東京オリンピックまでにサービス化されるものと考えていました。)
私も新しい技術に適用できるよう、知識を深め、アンテナを張っていきたいと思います。