皆様こんにちは。ネットワーク事業部の生方です。
夏から秋にかけて、気をつけたいのが雷の被害です。この時期は突然の雨や台風なども多く、雷が発生しやすい季節となります。
特に群馬では、「雷(らい)と空風(からっかぜ)義理人情」と上毛かるたで読まれるように、雷は名物と言われるほどに多いものです。
そのため、パソコンを始めとした電子機器が雷の影響を受けて故障してしまうことも非常に多い時期となります。
今回は、雷の影響からパソコンなどを守るためのポイントや、雷対策のグッズをご紹介したいと思います。
目次
雷によって起こる影響とは?
雷が電子機器を故障させる原因の一つに、「雷サージ」と呼ばれる現象があります。
雷サージとは、落雷によって電線や通信線などに発生する異常な過電圧・過電流を指します。雷が建築物や電線に直接落ちたり、その近辺に落ちるなどすると、電線に異常に大きな電気が流れてしまいます。
それがコンセントなどから電子機器に流れることで、想定外の電圧・電流に耐えきれず故障の原因となってしまうのです。
また、雷の影響で起こる「停電」も大きな問題です。
雷が電線や電柱などに落ちると、断線したり変圧器などの機器が故障することで停電が発生します。
パソコンを使用中に停電が起こった場合ですが、ノートパソコンにはバッテリーがあるため大きな影響は受けません。しかし、デスクトップパソコンは停電によってその瞬間に電源が切れてしまいますので、停電の影響をより受けやすいと言えます。
パソコンへの影響は?
雷サージや停電によるパソコンへの影響として以下のようなものがあります。
(1)過電圧・過電流の影響で故障する
先ほども少し触れましたが、雷サージによって起こる想定外の電圧・電流によって、パソコンが故障してしまう可能性があります。特に近年は、性能向上のために集積回路の高密度化が進み、回路同士の間が狭くなったために雷サージの影響を受けやすくなっていると言われています。
(2)ハードディスクが破損する
稼働しているハードディスクが突然停止すると、内部のディスクに傷がついたり、データの読み書きにエラーが発生する場合があり、ハードディスクが故障してしまう可能性があります。
一部のデータが読み出せなくなるだけであればまだ軽傷ですが、最悪の場合はパソコンが起動しなくなってしまうこともあります。
停電くらい大したことではないと思うかもしれませんが、停電したことで保存していたデータを完全に失ってしまう可能性もゼロではないのです。
(3)編集中のデータが消えてしまう
WordやExcelなどを編集中の場合、電源が切れた瞬間にデータが消えてしまいます。
設定により一定間隔で自動保存されていることもありますが、そうでない場合には長い時間かけて作っていた書類が一瞬にして水の泡…なんてこともあり得ます。
(4)インターネットにつながらなくなる
停電によって影響を受けるのはパソコンだけではありません。
インターネットに接続するための通信機器(ONU、ルータ―、HUBなど)も影響を受けやすいところです。
停電中はONUなどに電気が供給されないのでネットにつながらなくなるのはもちろんですが、突然の停電によって一時的に機器の調子が悪くなってしまうことが往々にしてあります。
再起動によって復旧することも多いですが、過電流によって通信機器が故障した場合には交換・再設定が必要になる場合もあります。
雷対策のために有効な手段・グッズ
雷が鳴る前にシャットダウンしてコンセントから電源を抜く
まず雷対策の第一歩として、天候が悪化しそうだと思ったときには作業中のデータを保存して、アクシデントに備えましょう。
また、電源をOFFにしても問題ないパソコンでコンセントの抜き差しが可能であれば、コンセントから電源ケーブルを抜いておきます。
雷が鳴り出してしまったら、コンセントに近づくのは逆に危険になってきますので、事前の対応を心がけましょう。
雷サージはコンセントから流れてくる過電流ですので、もしコンセントから電源を抜けるのであれば抜いてしまった方が安全です。
また、電線だけではなく通信線から雷サージが入る可能性もありますので、LANケーブルも抜ければベターです。
ただし、重要なシステムが動いているようなパソコンやNAS、サーバなど、どうしても電源を切ることが難しい場合もあります。
その場合には、以下にご紹介するような雷対策の機器を導入していただくのがおすすめです。
雷サージ保護機能付きの電源タップ
雷サージが発生した場合に、電線から家庭内に大きな電流が入り込みます。
通常の電気と同様に壁のコンセントから電子機器へ流れ込んでしまうため、これを途中で食い止めることが大切です。
そのためのグッズとして、雷サージ保護機能を持つ電源タップが市販されています。
(製品例)サンワサプライ 雷ガードタップ
仕組みとしては、雷サージのような大きな電流を吸収する素子(バリスタ)が電気の回路の途中に組み込まれており、大きな電流が来たときには素子に電気が流れて、つながれている電子機器には電気が流れなくなるという形になっています。
ほとんどの場合、見た目も使い方も普通の電源タップと変わりません。コンセントにつなぐだけで雷サージの対策になりますので、とても手軽な手段です。
しかし弱点もあり、この吸収素子は大きな電流が流れると壊れるようになっていますので、2回以上の雷サージは防ぐことができません。一度でも雷サージの影響を受けたら交換が必要となりますのでご注意ください。
また、機種によって保護できる最大電圧や最大電流に違いがありますので、購入時には製品の仕様をご確認ください。
UPS(無停電電源装置)
UPSとは、バッテリーを内蔵した電源装置で、コンセントの差込口を複数備えています。
停電した場合には、内蔵したバッテリーからつながっている機器に電気を供給するので、突然電源が切れてしまうことを防ぎ、安全にパソコンをシャットダウンするまでの時間を確保することができます。
(製品例)APC PCおよび周辺機器用UPS
ただし、ノートパソコンのバッテリーのように長時間電気を供給することは前提としていません。
あくまでも突然の停止を防ぎ、シャットダウンを行う数分間だけ持たせるためのものとお考え下さい。
UPSは、1万円以下でも購入できるような小型の家庭向け製品から、複数のパソコンやサーバを接続するための業務用まで幅広く販売されています。
このご時世でテレワークをされている方も多いため、ご自宅のパソコンを保護するために小型のUPSを導入するというケースも増えています。
おわりに
今回は雷を中心にした対策法をご紹介させていただきましたが、パソコンの電源管理はとても重要なポイントです。
突然の停電でパソコンやNASが故障してしまって、大切なデータが一瞬にして消えてしまった…となれば、取り返しのつかない被害になることも十分考えられます。
ちなみに、落雷によってパソコンなどの電子機器が故障してしまった場合には、火災保険で補償される可能性があります。
もちろん被害が出ないのが一番ですが、もしもの場合に備えておくのも大事ですので、ご加入の火災保険の補償内容を確認してみてください。
(参考)損保ジャパン 火災保険の自然災害ガイド 落雷による損害
雷サージに対応した電源タップなどは千円程度から導入できますし、UPSも容量の小さいものであれば1万円台からの製品もあります。
これからまだまだ雷の影響が続く季節ですので、これを機にぜひ会社やご家庭の雷対策を見直してみてください。
弊社でもUPSの機種選定から導入・設置までサポートしております。お困りの場合にはぜひお気軽にご相談ください。それでは!