皆様、はじめまして。ネットワーク事業部の原口と申します。 普段何気なく会社や自宅で使用している電子メールですが、メールソフトにメールアドレスを設定する際に、 POPやIMAPといった聞きなれない言葉を一度は調べたことがあるのではないでしょうか。
今回、電子メールの仕組みや、送受信で使用されるプロトコルの違いなど電子メールについてお話をしていきたいと思います。
目次
電子メールの流れ
電子メール(e-mail:electronic mail)とは、PCやスマートフォンなどがネットワークを利用して、メッセージをやり取りするシステムとなります。
ですが、PCやスマートフォン同士で直接ネットワークを繋ぎメールをやり取りするわけではありません。
正確には、使用端末の中間に「メールサーバ」といわれる電子メールの送受信を担っているサーバが存在し、 ユーザはメールソフトを使用して、「メールサーバ」からメッセージを受け取っています。 メールを送受信するためのメールソフトは「Outlook」「Thunderbird」などがあります。
電子メールの送受信プロセスを以下にまとめました。
電子メール送受信プロセス概要図
- メール送信者はメールソフトからSMTPでメールをメールサーバへ送信します。
- 宛先のメールサーバへSMTPでメールを送信します。
- メール受信者はメールソフトからメールサーバへ接続し、メールサーバ側でメール受信者のユーザIDとパスワードを基にPOP認証を行います。
- 認証に問題がなければ、POPでメールサーバからメールを受信します。
電子メールで使用するプロトコルについて
欠かせないのがプロトコルです。プロトコルとは、端末同士が相互通信をする際の通信規格(お約束事・ルール)になります。 例えるなら「言語」です。「日本語」しか話せない人と「英語」しか話せない人ではコミュニケーションが取れず、意思疎通ができないといったことがあります。ネットワークやコンピュータの世界でも、データをやり取りする際にルールを定めていないと正常に通信することができません。 プロトコルとは、コンピュータ同士が相互通信する際の共通言語と言えます。 ここでは、電子メールで使用する代表的な通信プロトコルをご紹介しますが、様々な通信プロトコルが存在し、日常的に使用しているプロトコルもあります。 余談ですが、webブラウザ内でよく見かける「http」や「https」も通信プロトコルの一種になります。
ここで電子メールでの代表的なプロトコルを3つ紹介していきます。
● SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)とは?
SMTPはメールを「送信」する役割を担っています。
・メールサーバへメッセージを送信する際に使用。
● POP (Post Office Protocol)とは?
POPはメールを「受信」する役割を担っています。
・メールサーバからメッセージを受信する際に使用。
・メールサーバから受信メールを、端末にダウンロードして管理。
・POPには複数バージョンがありますが、POP3が主流です。
・基本的にPOPと書かれている場合はPOP3を指しています。
● IMAP(Internet MessageAccess Protocol)とは?
IMAPはPOPと同じく、メールを「受信」する役割を担っています。
・メールサーバからメッセージを受信する際に使用。
・使用端末にメールデータを保存せず、メールサーバ上で管理。
・IMAPには複数バージョンがありますが、IMAP4が主流です。
・基本的にIMAPと書かれている場合はIMAP4を指しています。
POPとIMAPの違い
それでは、POPとIMAPどちらを使用するのがよいのでしょう?
POPとIMAPそれぞれのメリット・デメリットを以下にまとめました。
メリット | デメリット | |
POP | ・容量を圧迫しない。 ・インターネットに接続していなくても 過去に受信したメールを確認できる。 |
・複数の端末での使用の場合、送受信トレイの状況が異 なる。 ・パソコン故障時にメールが消えてしまう。 |
IMAP | ・メールの開封状況や送信済みメール等を共有できる。 ・端末を変えた時のメールデータの移行は不要。 |
・メールサーバの容量制限に達しやすい。 ・インターネットに接続していないと 受信メールが確認できない。 |
おすすめ設定は以下のとおりとなります。
1台の端末でメールを管理する方はPOP
※複数端末を使用しない場合は、基本的にPOPでの受信を推奨。
複数端末でメールを管理する方はIMAP
※スマートフォンとPCのように複数端末でメールを管理する方におすすめ。
メール送信時のエラー(オマケ)
MAILER-DAEMONとは?
メールサーバにメールが届いたものの正常に配送がされなかった場合に、メールサーバからエラーメールが返送されてきます。このエラーメールの事をバウンスメールといい、メール本文にエラー内容が記載されています。
「MAILER-DAEMON@******」という差出人からメールが届きます。
メーラーデーモンさんは、相手先のメールアドレスが間違っていたり、正常に送信できなかった際に報告してくれるありがたい存在です。
※「MAILER-DAEMON」の「DAEMON(デーモン)」は、悪魔のDEMON(デーモン)ではなくギリシャ神話のDAEMON(ダイモン)が由来となっています。
よくあるエラー内容
以下では、バウンスメールの本文に記載されるエラー例と原因を一部ご紹介します。
「User unknown」
意味:宛先のメールのホスト名(@より前の部分)が存在しない。
宛先のメールアドレスが間違っているかメールアドレスが存在しない。
対処:メールアドレスが正しいかどうか確認して、再送する。
「Host not Found(Host unknown)」
意味:宛先のメールのホスト名(@より後ろ部分)が存在しない。
宛先のメールアドレスが間違っているかメールアドレスが存在しない。
対処:メールアドレスが正しいかどうか確認して、再送する。
「Message size exceeds remaining quota」
意味:宛先のメールボックスが容量制限に達しているため、新規メールを受信できない状態。
対処:相手のメールサーバ容量に空きができてから、再送する。
「Message exceeds maximum fixed size」
意味:送信したメールサイズ(添付ファイルなど)が大きすぎる。
対処:添付ファイルを圧縮したり、メールサイズを小さくする。
上記のエラーはほんの一例であり、ご自身での解決が難しい場合はメールサーバ管理者への問い合わせを推奨します。
まとめ
近年はチャットシステムの登場により、電子メールの利用率が低くなったと思われがちです。
ですが、企業間でのやり取りは今も電子メールが一般的であり、証跡を残す観点からも非常に重宝されています。
電子メールで使用される通信プロトコルや送受信プロセスの特徴・仕組みを理解することは、エラーメールへの対処方法やセキュリティ対策などに役立ちます。
普段何気なく利用している電子メールがどのような仕組みでやり取りされているのか、この記事が考えるきっかけになれば幸いです。