IT分野の発展に伴い、新しいIT用語も次から次へと生まれています。
「取引先との打ち合わせ中に知らない用語が出て困った」「会議中に知らない用語が出て恥ずかしい思いをした」
といった苦い経験がある方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回はいま知っておきたいIT用語を20件紹介します。この機会にぜひチェックしておきましょう。
目次
●セキュリティ関連
ゼロトラスト
ゼロトラストは「何も信頼しないこと」を前提に対策を講じるセキュリティの考え方です。
これまでのセキュリティ対策は、保護すべきデータやシステムがネットワークの内側にあることを前提としていますが、現在はクラウドの普及により、外側であるインターネット上に保護すべき対象がある状況が珍しくありません。
そのため、これまでの考え方では十分な対策を講じることが難しくなりつつあり、そこで広まっているのが、すべての通信を信頼しないことを前提に、様々なセキュリティ対策を講じるというのがゼロトラストの考え方です。
(次に紹介するとSASEと一緒に覚えておきましょう)
SASE
SASEはSecure Access Service Edgeの略で、2019年に米Gartner(ガートナー)社※1 が提唱したネットワークセキュリティモデルです。
※1 IT分野の調査等を行うアメリカの会社
これまでのセキュリティ対策は、社内ネットワークとインターネットの境界にファイアウォールやUTMなどを設置し、そこで通信を監視・制御するというものでした。こうした考え方をペリメータ(境界)セキュリティと呼びます。
このペリメータセキュリティは、ネットワークの内側に守るべきものがあり、外部は危険であるという前提で対策を講じますが、すでにこの前提は崩れつつあります。
現在では社内ネットワークの外にあるクラウドにさまざまなデータを保存したり、あるいはクラウド上で業務アプリケーションを実行するといったことが珍しくありません。
つまり守るべきものが境界の外にあるという状況となり、これまでの境界型セキュリティでは対応できなくなっているという訳です。
またデータや業務アプリケーションに接続する、アクセス元の環境も大きく変わっています。
これまでは社内のオフィスからアクセスすることがほとんどでしたが、テレワークの浸透により自宅からアクセスする機会が増えているほか、モバイルデバイスを使って外出先でデータを参照するといったことも一般的に行われています。
このように自宅や外出先からクラウドサービスにアクセスする際には境界に設置されたファイアウォールは経由しないため、社内のオフィスと同等のセキュリティ対策は実施されていない状況になってしまいます。
こうした課題を解決するものがSASEです。これはネットワークとセキュリティの機能をクラウド上で包含的に提供する考え方です。
SASEはゼロトラスト セキュリティを実現するための方法の1つと考えると理解しやすいと思います。
EDR
EDRはEndpoint Detection and Responseの略で、パソコン、サーバー、スマートフォンなどのエンドポイント ※2の操作や動作の監視を行い、サイバー攻撃を受けたことを発見次第、対処するソフトウェアの総称です。
エンドポイントがサイバー攻撃を受けることを前提に、マルウェアの検知や除去などの初動対処をスムーズに行い、被害を最小限に抑えることを目的としています。
※2 IT用語としては、ネットワークにつながる多くの機器のなかで「終端となる機器」のことを指します。
EPP
EPP(Endpoint Protection Platform)は、エンドポイント保護プラットフォームとも呼ばれます。
エンドポイント接続される機器にマルウェアなどが感染しないよう保護することを目的としたセキュリティ対策ツールの総称です。
個人や法人で広く利用されている「アンチウイルスソフト」もEPPの1つです。
マルウェアに感染しないようにするEPPに対し、EDRはマルウェア感染後に被害を抑えることを主目的としたセキュリティ対策です。
シャドーIT
シャドーITとは会社の管理下にないハードウェアやソフトウェア、SaaSなどを、社員が無断で業務に使用することです。
例えば業務データを私物のUSBメモリーに保存して持ち帰り、自宅で作業をするといった行為はシャドーITに当たります。
また会社が許可していないSaaSを利用したり、個人で利用しているSaaSに業務データをアップロードしたりすることも同様です。
PPAP
ファイルをパスワード付きZIPファイルにしてメールで送信し、そのパスワードを別のメールで送るファイル共有方法のこと。
ヒット曲「ペンパイナッポーアッポーペン」の略称にかけた造語で、
「Password付きZIPファイル送ります」
「Password送ります」
「Aん号化(暗号化)」
「Protpcol」の略とされます。
●ネットワーク関連
Wi-Fi6
「Wi-Fi 6」は、第6世代のWi-Fi規格のことで「WI-FI6」や「11ax」などのように表現されることがありますが、正式には「Wi-Fi 6」「IEEE 802.11ax」と記述します。
「Wi-Fi 4」とか「Wi-Fi 5」とか聞かなかったけど、なぜいきなり6からなのかということについてですが、これまでのnとかacとかaxなどでは、単純にどれが新しい規格で通信速度が早いのか分かりにくい。という意見から生まれたものとなります。
Wi-Fi規格の正式名称は「IEEE 802.11○(〇にはアルファベットが入ります)」で、IEEE802を除いた「11+アルファベット」が通称となり、「11n」や「11ac」という風に、正式な規格名称を省略して使われていました。
「IEEE…」という規格名称は知らないけど、「Wi-Fi」は知っているという方の方が多いのではないかと思います。
そこで、「Wi-Fi」規格の新旧をよりわかりやすくするために、6番目のWi-Fi規格「11ax(IEEE 802.11ax)」を「Wi-Fi 6」と呼ぶことになりました。
それにともなって、1つ前の「11ac」は「Wi-Fi 5」、2つ前の「11n」は「Wi-Fi 4」と呼ばれます。
なお、第3世代以前のWi-Fi規格には新名称はありません。
ESSID
Extended Service Set Identifier 無線LANの規格であるIEEE 802.11シリーズにおいて「混信」を避けるためにアクセスポイントと端末に設定する識別子であるSSID を、複数のアクセスポイントが設置されている状況に対応するため、ネットワーク識別子として拡張したものです。
無線LANでは、有線LANと異なり、複数のアクセスポイントと通信が可能になってしまう「混信状態」が発生する可能性があります。
これを回避するため、アクセスポイントと端末にそれぞれ ESSIDを設定し、ESSIDが一致する機器同士しか通信ができないようにアクセス制御を行っています。
ハイブリッドクラウド
ハイブリッドクラウドとは、オンプレミス、パブリッククラウド、プライベートクラウドなどの異なる環境(サービス)を組み合わせて利用するクラウド環境のことです。
ハイブリッドクラウドを導入することで、自社のオンプレミス環境とプライベートクラウドを組み合わせ、クラウドで自社システムを利用できる環境の構築などが実現できます。
例えば、公開しているWebサーバーはクラウド上に配置し、機密性の高い情報のみをオンプレミスの物理サーバー上に保存する、といった使い分けができます。
これは、クラウドの高い処理能力やストレージ容量などを可変できる柔軟性と、物理サーバーのセキュリティの高さをどちらも活かした例です。
構成が複雑になり管理の負担が増える可能性もありますが、ハイブリッドクラウドを導入することで、異なる環境のメリットを組み合わせてより最適なITインフラ環境を構築できます。
また、ハイブリッドクラウドを利用することは、BCP(事業継続)対策としても有効です。
オンプレミスのみの環境の場合、物理サーバーが災害等の被害にあった際にはサービス停止や重要な情報の消失などの被害が想定されます。
しかし予めクラウド環境にバックアップを設定しておけば、物理的な被害にあった場合でもデータを復元することができ、円滑な事業再開を可能にします。
●その他
NFT
NFTとはNon Fungible Tokenの頭文字をとってつけられた名称で、直訳すると「代替不可能なトークン」、簡単に言うなら「デジタル上の資産の鑑定書」です。
NFTにはブロックチェーンの技術が活用されており、複製できないように加工されています。
NFTが誕生するまで、デジタル作品は簡単にコピーできてしまうため、それが本物であることや所有者が誰かを証明することが困難でした。
しかしNFTの登場により、デジタル上でもそれが本物かつ、〇〇さんの所有であると証明できるようになったことで、それを資産として取り扱うことが可能になったのです。
NFTの具体的なジャンルをあげると、アート・ゲーム・音楽・スポーツ・不動産・コレクターズアイテムなど多岐にわたります。
NFTが世界中から注目されることになったのは、以下のようなことがあったからです。
NFT関連語録
引換券や代用貨幣のことを指す。ブロックチェーン上で発行される取引対象全般は「デジタルトークン」で、これを単にトークンと呼ぶのが一般的。
このうち、個性がなく代替可能な(ファンジブルな)トークンが、ビットコインに代表される暗号資産で、個性があり代替性のないものがNFT。
RPA
RPAとは(Robotic Process Automation)の略でこれまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を、人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用して代行・代替する取り組みです。
RPAの提供する代表的な機能は、人がパソコン上で日常的に行っている作業を、人が実行するのと同じかたちで自動化する、というものです。
RPAでは、人が行う処理手順を登録しておけば、人が操作するのと同じ様にユーザー・インターフェースを通じて、複数のシステムやアプリケーションを操作し、実行することができます。
作業の自動化プロセスの設定についても、多くのRPAソリューションが、画面操作記録やプロセス・ダイアグラム上でのドラッグ・アンド・ドロップ等の機能を備えているため、プログラミングの素地が無い人でも直感的に設定することができ、自動化にかかる負担はさほど大きくありません。
サブスクリプション
料金を支払うことで、サービスや製品を一定期間利用することができる形式のビジネスモデルのことです。近年ではサブスクとも略されます。
有名どころではNetflixやAmazonプライム、Spotifyなどがあります。Adobe Creative Cloudのようにこれまでのような買い切り型を無くしてサブスクにすることで売上を上げた例も多くあります。
BCP
BCP Business Continuity Plan (別名: 事業継続計画)
予期せぬ災害が発生した場合に、最低限の事業を継続し、または早期に復旧・再開できるようにする企業が定めた行動計画のこと。
事業継続計画ともいう。近年、地震、火災・爆発、大規模なシステム障害などが相次いでおり、その結果、基幹となる事業・業務の停止に追い込まれるケースが見られることから策定の重要性が叫ばれている。
なお、宣伝になりますがBCPの第一歩として手軽に始められる弊社のクラウドバックアップがおすすめです。
MaaS
「Mobility as a Service」の略で、これまでの交通手段・サービスに、自動運転やAIなどのさまざまなテクノロジーを掛け合わせた、次世代の交通サービスです。
MaaSという言葉が誕生した当初は、複数の交通手段を利用する際に移動ルートを最適化し、料金の支払いを一括で行えるサービスと定義されていましたが、近年は物流MaaSや決済サービスなど概念が拡張しています。
事例
ディープウェブ、ダークウェブ
混同されがちですが、
ディープウェブ:Web検索エンジンに登録されないWebサイトの総称
ダークウェブ:Web検索エンジンに登録されないだけでなく、専用のソフトや特別なやり方としないと見られないWebサイトの総称
まとめて簡単に言うとGoogleやYahoo!などで検索しても、その結果に表示されないWebサイト、ということです。
すべてが悪質なものというわけではないですが、基本的にはアングラなものにつながるケースが多く、いつの間にか犯罪に加担していたということもあり得ますので、興味本位では利用しないことをおすすめします。
デジタルトランスフォーメーション (DX)
デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation とは一般的にDXと表記され、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という仮説です。
ビジネス用語としては定義・解釈が多義的ではありますが、おおむね「企業がテクノロジー(IT)を利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」といった意味合いで用いられます。
IoT
Internet of Thingsの略で、「モノのインターネット」と訳されます。
これまでインターネットに接続されていなかった様々なモノ(センサー機器、家電製品、住宅、車、など)が、ネットワークを通じてサーバーやクラウドサービスに接続され、相互に情報交換をする仕組みです。
IoB
Internet of BehaviorもしくはInternet of Bodiesの略で、身体がインターネットにつながるということを意味し、主にヘルスケアの領域で活躍が期待されています。
例えば、「Apple Watch」などに代表されるスマートウォッチ。
これは、腕時計のように体に装着するだけで、心拍数や運動量がわかるという商品です。
IoBの活用例
メタバース
メタバースとは、「meta(超越)」と「universe(宇宙)」を組み合わせた造語。簡単に言うと『仮想空間のこと』です。
フェイスブックが「Meta」に改名したことで注目されました。
ビジネスの分野でもバーチャルオフィスやリモート会議、Webセミナー(ウェビナー)など、メタバースを取り入れたサービスが展開され始めています。
また、コロナ禍で自粛を余儀なくされた展示会や株主総会など、イベントや観光、冠婚葬祭などの分野などにおいても、自宅に居ながら参加できるようにメタバースを取り入れたサービスの開発が進んでいます。
シンギュラリティ
英語で「特異点」の意味。 「人工知能(AI)」が人類の知能を超える転換点(技術的特異点)、または、それにより人間の生活に大きな変化が起こるという概念のことを指しています。
余談ですが、シンギュラリティが起こるとどうなるか、ターミネーターがノンフィクションになる日が来てしまうのか!映画好きの私はちょっと怖かったりもします。
●まとめ
いかがでしたでしょうか?
IT用語を20件、ご紹介させていただきました。
ITに限ったことではありませんが、まずはいち早く業界のトレンドとなる用語を知っておくことが大切です。
インプットがなければアウトプットできるものも少なくなります。
もしIT業界に身を置いているにも関わらず、今回ご紹介したIT用語を2~3件しか知らなかった、、
という方はちょっとまずいと思いますので受験生になったつもりで必死に勉強しましょう!