今回はメッシュWi-Fiを導入した事例を紹介したいと思います。
今までの構成
■構成図
今まで複数のWi-FiルータをルータモードとAP(アクセスポイント)モードを併用して、各部屋でWi-Fiを利用できるようにしていました。
光回線が1階ダイニングに配線されているため、1階リビングおよび2階個室にWi-Fi機器が設置してありました。
しかし、利用していくうちにいくつかの不便な点がでてきました。
- 部屋を移動した際、接続先が切り替わらず端末のWi-Fi電波が弱いまま
- 複数のSSIDがあり部屋を移動した際、手動による切り替えが面倒
ダイニングからリビングへ移動した時、弱いながらもダイニングの電波(SSID:ROOM-A)はリビングまで届いていました。
端末側(PCやスマホ)は電波が切れるまでダイニングの電波をつなげようとするので、リビングの電波(SSID:ROOM-B)に切り替わるのに時間が掛かっていました。
そのため、部屋を移動した際、手動でSSIDを切り替えることで強い電波のWi-Fiを利用するようにしていました。
そこで、メッシュWi-Fiを導入することで上記の問題を解決しようとしました。
メッシュWi-Fiとは・・・
メッシュWi-Fiは、メッシュ(網目)のように機器同士がつながり、1つの大きなWi-Fiネットワークを構築することです。
機器同士が自動で連携をとるので安定したネットワーク環境を利用することができます。
メッシュWi-Fiは通信速度重視ではなく、安定したネットワーク環境を提供することを重視しています。
今回はNETGEAR社のOrbiを使ってメッシュWi-Fiを構築しました。
新しいネットワーク構成
■構成図
1階ダイニングにルータを設置、1階リビングと2階個室にはサテライトを設置しました。
設置後、今まで問題となっていた点が解決されました。
- 部屋を移動した際、Wi-Fi電波の切り替わりが早くなり意識せず強いWi-Fiの電波が利用できる
- SSIDが1つに集約されたので手動による切り替えがなくなった
今までの機器でも、同じSSIDを複数の機器に設定したり中継機能を利用してSSIDを同じにすることはできました。ですが、無線機器同士が連携をとっていないので電波の切り替わりは別々のSSIDを利用しているのと同じになるのでスムーズな電波の切り替わりができません。
メッシュWi-Fiにすることで1つのSSIDでスムーズな電波の切り替わりが可能になります。
また、以前の記事でローミングの積極性について紹介したことがありますが、条件が限られているためスマホやタブレットを多く利用する現在の環境では有効とはいえません。
構成のポイント
今回選定したNETGEAR社のOrbiはイーサネットバックホール機能がついています。
メッシュWi-Fiは親機(ルータ)と子機(サテライト)が電波を使って連携をとりますが、
イーサネットバックホールは有線のLANケーブルでメッシュWi-Fiの機器を接続します。
有線のLANケーブルで接続することで電波よりも高速で安定した通信を提供することができます。
今回はダイニングから各部屋へLANケーブルが配線されているのが確認できていたので、より安定したネットワーク環境を構築するためにイーサネットバックホールを使いました。
機器選定の際、この機種を採用した理由でもあります。
メッシュWi-Fiのメリット・デメリット
メッシュWi-Fiにすることで今回のようなメリットの他に「Wi-Fi EasyMesh」の規格に対応した製品であれば、異なるメーカーの製品が混在していてもメッシュWi-Fiの環境を構築することができます。
しかしながら、新たにメッシュWi-Fiを構築する時にはデメリットもあります。
- メッシュWi-Fiを新たに構築する上でコストが高くなる
- 単体のWi-Fiルータと比べるとわずかに通信速度が遅くなる可能性がある
メッシュWi-Fiを構築できる機器は通常のWi-Fiルータに比べると高価な製品が多く、複数台の機器を必要とするため導入する際のコストが高くなる傾向にあります。
また、通信速度については、サテライトの機器も通信処理をおこなったりするので低下してしまう可能性があります。
ただし、複数の端末が1台のWi-Fiルータに集中している場合は、メッシュWi-Fiにすることで負荷が分散されるので逆に最適な場合もあります。
通信速度が低下するかもしれないとはいっても体感できる程の低下ではありません。
まとめ
Wi-Fi環境を構築する際、みなさん気になるのが
- Wi-Fi機器を設置した場所からどこまで電波が届くのか
- 通信速度はどのくらい速いのか
ではないでしょうか。
今回は通信速度よりも安定したWi-Fiネットワーク環境を重視した構成になります。
もちろん、メッシュWi-FiにしたからといってWEB会議の映像が悪くなったり、動画再生の読み込みが遅くなることはありません。
何を重視するかによって機器や構成が変わります。
会社はもちろんご自宅のネットワーク環境でお困りでしたら弊社にご相談いただければと思います。