皆様こんにちは。ネットワーク事業部の浅井です。
7月も中旬に入り、本格的な夏が始まったと感じている方も多いのではないでしょうか。
かなり暑い日々が続いているため、暑さで体調を崩されてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
実はパソコンや周辺機器も人と同じように熱に弱く、温度が高い環境で利用していると機械の故障に繋がってしまうこともあります。
今回は、機械が高温になることによる故障のリスクや、熱による故障を防ぐ対策についてご紹介をしていきたいと思います。
目次
パソコンの利用可能な温度範囲はどのくらい?
パソコンは利用していると熱くなる、というイメージがある方は多いのではないかと思います。
では実際のところ、どのくらいの温度での利用が推奨されているのでしょうか。法人向けのパソコンをピックアップして確認します。
なお、ここでの温度とは機器周辺の気温のことを指しています。
本体自体の温度とは異なりますのでご注意ください。
例えば国内メーカー『NEC』の場合、パソコンを利用する際の温度は下記の通りです。
NEC
種類(機種名) | 温度範囲 |
デスクトップパソコン(Mate Jシリーズ) | 10℃ ~ 35℃ |
ノートパソコン(VersaPro Jシリーズ) | 5℃ ~ 35℃ |
他メーカーとして、『DELL』の場合は下記の通りです。
DELL
種類(機種名) | 温度範囲 |
デスクトップパソコン(OptiPlexシリーズ) | 10℃ ~ 35℃ |
ノートパソコン(Latitudeシリーズ) | 0℃ ~ 35℃ |
このように、メーカー間で温度差はあまりなく、機械ではありますが人の活動可能な温度とあまり変わらない温度範囲での使用が推奨されています。
機械だから暑さに強いだろうと思われる方もいるかもしれませんが、外気の温度上昇に伴いパソコン内部の温度が極端に高くなった場合『熱暴走』と呼ばれる状態に陥ってしまい動作に不調をきたすことがあります。
熱暴走時は、PC内部のパーツによっては100℃近い高温になることもあり、パソコンの処理速度が極端に低下したり、突然電源が落ちてしまったりもしまいます。
故障の原因にもなるため、推奨温度範囲での利用を心がけましょう。
私も過去に排熱がうまくできていないパソコンを夏場に使用して、GPUというグラフィックの描画に必要なパーツが実際に故障してしまい泣く泣く新しく購入、交換したことがありました。
ネットワーク機器の利用可能な温度範囲はどのくらい?
続いて、ネットワーク機器についても紹介します。
今回は社内のネットワークで利用されることの多い、
『ルータ』『HUB(ハブ)』『アクセスポイント』『NAS』『外付けHDD』について、それぞれ2メーカーを参考に確認していきます。
ルータ
機種名(メーカー名) | 温度範囲 |
VR-U300W(BUFFALO) | 0℃ ~ 45℃ |
RTX830(YAMAHA) | 0℃ ~ 50℃ |
HUB
機種名(メーカー名) | 温度範囲 |
LSW6-GT-8NS(BUFFALO) | 0℃ ~ 40℃ |
GS108v4(NETGEAR) | 0℃ ~ 40℃ |
アクセスポイント
機種名(メーカー名) | 温度範囲 |
WAPM-AX4R(BUFFALO) | 0℃ ~ 50℃ |
WLX222(YAMAHA) | 0℃ ~ 50℃ |
NAS
機種名(メーカー名) | 温度範囲 |
TS5210DN0402(BUFFALO) | 0℃ ~ 40℃ |
HDL2-XA4B/TM5(I-O DATA) | 5℃ ~ 40℃ |
外付けHDD
機種名(メーカー名) | 温度範囲 |
HD-GD4.0U3D(BUFFALO) | 5℃ ~ 35℃ |
HDJA-UTN4B(I-O DATA) | 0℃ ~ 40℃ |
こちらもパソコンと同様に、メーカーによって若干の差はありますが、同じ種類の機器であれば概ね近い温度での利用が推奨されていることがわかると思います。
この中で特に注意が必要な製品としては、やはりNASと外付けHDDが挙げられるでしょう。
この二つは社内でも重要なデータを保管しておくことが多いため、故障した場合に大きな被害が予想されます。
また、これらは他の製品に比べて若干ですが推奨温度範囲が狭く設定されています。
その理由としては、磁気ディスクを回転させるモータが常に稼働しており、駆動部分等が熱に弱いことが挙げられます。
もし、高い温度での稼働が続くと、機器の寿命がより短くなってしまうこともあります。
どのような対策をすればいい?
ではこの暑い夏に、機器の温度を上昇させないためにはどうすればよいのでしょうか。
具体的な手段を紹介していきたいと思います。
機器周辺温度を確認する
機器周辺がどのくらいの温度になっているのか把握することで、環境改善や問題発覚に繋がることがあります。
まずは温度計を機器の近くに設置してみましょう。
空調の効いた部屋に設置する
一番の対策は、常に一定の温度・湿度に保たれた部屋に機器を設置することです。
多くのサーバを設置・稼働させているデータセンターでは、常に空調設備が稼働しており一年中同じ温度・湿度に保たれるように管理されています。
といっても、データセンターのような設備を自社で用意していることは稀でしょう。
その場合、日中暑い時間帯にエアコンが利用されているオフィス内に機器を設置、利用することでも十分効果が見込めます。
推奨される温度範囲内の環境で使用するという意識が大切です。
風通しの良い環境に設置する
空調が効いた部屋に設置する、と先ほど紹介しましたが、風通しを意識することもとても大切です。
なぜならば、いくら部屋自体の温度が低かったとしても、機器周辺の温度が高ければ対策としては意味が無いためです。
また、今回紹介した機器は、自分自身も多くの熱を排出するものばかりであり、機器同士を密着させるとそれだけでかなりの高温になってしまいます。
それぞれの機器を密着させず、吸気口、排気口を塞がないように配置しましょう。サーキュレータを利用して機器周辺の空気を循環させるというのも良い方法です。
『置き場所が無いから』、『見栄えが悪いから』といった理由で風通しの悪い設置をしてしまうと、機器の寿命を縮めたり故障の原因になるため注意が必要です。
直射日光を避ける
空調が効いていて、風通しが良い環境であっても、機器の温度が上昇してしまうことがあります。
それは直射日光です。
パソコンや、ネットワーク機器は金属製のケースや色自体も黒色であることも多く、日光に当たるとやけどするような高温になってしまうこともあります。
窓際に設置することは必ず避けましょう。
ただ、窓際を避けたからといってまだ安心はできません。日光は時間の経過や、季節によっても角度が変わるため、慎重に位置を決めることが大切です。
朝日や西日であったとしても機器はかなりの熱を持ってしまいます。油断しないようにしましょう。
定期的に掃除する
ノートパソコンは別ですが、デスクトップパソコンや各ネットワーク機器は比較的低い位置に設置される場合が多いように思います。
落下した際のリスクや設置スペースを考えると低い位置に設置したくなりますが、設置位置が低いと問題になるのが埃です。
例えば、吸気口や排気口、ファンが搭載されている機器は埃の有無で排熱効果に雲泥の差が出てしまいます。
また、電源周りに埃が溜まったまま放置すると、ショートして故障してしまったり、最悪の場合火事に繋がる可能性もあります。
具体的な掃除方法について紹介します。
まず掃除の際はなるべく機器の電源を落としてから行うようにしましょう。
ただ、サーバやNASを停止すると業務に支障が出てしまうといった場合に、稼働を停止せずに掃除をする際はより慎重に作業しましょう。稼働中の機器に水気は厳禁です。
パソコンやネットワーク機器を掃除する際はエアダスターを使用するイメージがありますが、普段の掃除ではエアダスターの使用を控えたほうがよいです。
ケースを開けられるのであれば内側の埃を外側に飛ばすことができるのでよいですが、ケースが開けられない状態で外側から内側に向けてエアダスターを使用すると、内側に埃が入り込んでしまい逆に故障の原因となることがあります。
外側から吸気口、排気口、電源周辺の埃を掃除機で取り除いたり、乾いた布で拭き取るようにしましょう。
もし汚れがひどく濡れた布を使用した場合は必ず電源ケーブルやケーブル差込口が濡れたまま接続しないよう注意してください。
一度機器を設置した後はメンテナンスをせずに放置されがちですが、定期的な掃除を心掛けるようにしましょう。
まとめ
ここ数年は、外気温が40度を超えることが当たり前のようになってきました。人の熱中症対策が叫ばれるようになりましたが、パソコンやネットワーク機器もまた暑さへの対策が必要です。
いざ問題が起きてしまったときは、製品の購入や再設定作業等で多くの時間と費用が掛かってしまったり、重要なデータ消えてしまったりと取り返しのつかない場合さえあります。だからこそ長く、安全に利用できるように環境から見直してみてはいかがでしょうか。
ご紹介させていただいた内容は、技術的に難しいものでもなく、すぐにでも取り掛かれるものばかりです。機器の環境や管理方法を見直して、暑い夏を乗り越えてもらえたらと思います。
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