これまでの3回の記事で、OpenStackの概要・インストール方法・そして使い方について紹介して参りましたが、いかがでしたでしょうか?
OpenStackの紹介も、今回で最終回となりますので最後にまとめを行います。
OpenStackは、今最も注目されているOSS(オープンソースソフトウエア)のひとつです。
第一回の記事で紹介しているように、開発も活発に行われており、更なる機能拡張にも期待が持てます。
注目度の高さを裏付けるように、最近ではOpenStackの商用ディストリビューションが続々と出ています。
ベースとなるOpenStackに対して、各社が独自で機能を追加しパッケージとして販売・サポートを提供しているそうです。
例
・HP Helion(ヒューレット・パッカード)
・Metacloud(シスコ)
・Mirantis(ミランティス)
・Oracle Solaris(オラクル)
・Piston Cloud(ピストンクラウドコンピューティング)
・Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform(レッドハット)
・SUSE Cloud(ノベル)
・Ubuntu OpenStack(カノニカル)
OpenStackを使いたいけど、OSS特有のサポートを受けられない点が心配。と言うような場合には、これらの商用ディストリビューションを選択することで、OpenStackの機能をサポートのもとで使えるようになるはずです。
また機能の拡張性に関しても、OpenStackは各コンポーネントに対応するプラグインの導入が可能な点も見逃せません。
例えば、最近OSS化されSDNの分野で注目されているMidoNetというものがありますが、こちらもOpenStackにプラグインとして組み込むことが可能です。
導入することにより、ネットワーク基盤ソフトウェアとして利用出来ます。
MidoNetはいわゆるオーバーレイ型のネットワーク仮想化を実現するソフトウェアで、物理的なネットワーク構成の上に、仮想的なレイヤ2ネットワーク、レイヤ3ネットワークを構成し、ファイアウォール、ロードバランス、アクセスコントロールやセキュリティグループなどの機能を実現します。
MidoNetについては今後、別の記事で紹介予定です。
さらに下のグラフは、OpenStack、OpenNebula、Eucalyptus、CloudStackという4つのクラウド基盤ソフトウェアのコミュニティの人口を比較したものですが、
OpenStackの人口が圧倒的だということが分かると思います。
最近の傾向として、良いソフトウェア・サービスにはよいコミュニティが存在し、コミュニティにより新しい情報などが共有されるということです。
4つのクラウドコミュニティ人口比較(Qingye Jiang “CY13-Q4 Community Analysis – OpenStack vs OpenNebula vs Eucalyptus vs CloudStack”)
こうした状況からもOpenStackは将来性のある技術であることは間違いありません。
便利機能の紹介
続いてこれまでの記事では紹介出来ませんでしたが、個人的に便利だと思った機能を2つ程紹介したいと思います。
ネットワークトポロジー
これは、ネットワークの状況を視覚的に見ることが出来るもので、各ネットワークやインスタンスがどのような形態で接続されているかが一目でわかります。
仮想環境ゆえに複雑になるにつれて状況の把握が難しくなるネットワークの状況を自動的にわかりやすい形で表示してくれる為、非常に重宝するのではないかと思います。
リソース機能
これは現在のサーバ全体のリソース状況を確認出来ます。
インスタンス毎の使用状況を期間を指定して抽出することも可能な為、日々のメンテナンスやサーバ増強の目安などを測ることに利用出来るのではないでしょうか?
このようにOpenStackにはクラウド基盤ソフトウェアとして運用を楽にしてくれる機能が多く用意されています。
まとめ
今回の記事を書くにあたり、実際にOpenStackをインストール・使用してみて強く感じたことがあります。
それは複数のコンポートネントで構成されたOpenStackの仕組みは一見難しそうですが、最低限必要な機能だけに的を絞れば、けして難しいものではない。ということです。
今回の記事では紹介しきれていませんが、OpenStackには様々な機能が盛り込まれています。
例えば、システムの構築や運用を自動化するクラウドオーケストレーション機能というものもあります。
活用出来れば便利なものですが、OpenStackを利用する上で初めから必ずしも必要となる機能ではありません。
OpenStackに限ったことではありませんが、まずは実際に触れてみることが大事です。
各コンポーネントに搭載されている様々な機能を理解するのは、その機能が必要になってからで問題ないはずです。
OpenStackに興味がある方は、今回紹介した方法でテスト環境を構築し、実際に触れてもらいたいと思います。
OpenStackの紹介は以上です。それでは!