千本木です。
恒例のAWSシリーズ、今回はAmazon EFSをご紹介いたします。
Amazon EFSとは
EFSはElastic File Systemの略称で、AWS上で使用できる共有ファイルストレージです。
AWS上で複数のEC2インスタンスから共有ファイルストレージを使用したい場合、EC2インスタンス上にNFSを構築するとか、S3を使うなどの工夫が必要でしたが、Amazon EFSを使用することで簡単に実現できるようになりました。
Amazon EFSの発表自体は2015年4月にあったのですが、当時はプレビュー版の扱いで、利用するには事前登録が必要でした。
その後の2016年にプレビュー版登録をせずとも使用できるようになりました。
EBSやS3との違い
AWS上で使用できるファイルシステムには、EBSがあります。また、共有ストレージとしてS3を使うこともできますが、Amazon EFSとこれらのファイルシステムの違いについてまとめてみました。
製品 | EFS | EBS | S3 |
---|---|---|---|
スループット | 1秒あたり数GB | 1秒あたり1GB | 最も遅い |
保存先AZ | 複数 | 1AZ | 複数 |
アクセス | 複数AZの複数EC2インスタンスから同時 | 単一AZの単一EC2インスタンスからのみ | 複数AZの複数EC2インスタンスから同時及びインターネット公開可能 |
※参考:Amazon EFS と Amazon EBS の使用ケースの比較
https://aws.amazon.com/jp/efs/details/
全体的にEBSとS3の良いところを組み合わせたのがAmazon EFSのような印象ですね。
Amazon EFSのメリット
上述のEBS・S3との違いからも高パフォーマンスが期待できるEFSですが、メリットとなる特徴をまとめると以下のようになります。
- ディスク容量制限がなく、使用したぶんだけスケーラブルに拡張される
- NFS 4.0としてEC2からマウントすることが可能
- 複数のAZに冗長的に保存されるため信頼性が高い
- VPCからの使用に限られるため、インターネット上に公開されることなくセキュア
- スループットスケールが1秒間に数GBを公称しており、EBSよりも高速
Amazon EFSのデメリット
一方で、EFSを使用するデメリットも存在します。それは・・・
- 価格が高い
- 東京リージョンには実装されていない
EC2上にNFSサーバを構築するよりも高信頼性、高パフォーマンスが期待できるAmazon EFSですが、EBS、S3と比べて高価であることがデメリットです。
価格差はEBSの約3倍、S3の約7倍となりますので、用途に応じて使い分けるのが良いのではないでしょうか。
また、複数リージョンに渡って保存されるとはいえ、東京リージョンで使えませんので、日本国内で東京リージョンのVPCを使っている方には恩恵がありません。ここが致命的なデメリットと言えそうです。
なお、現状EFSを使用できるのは以下のリージョンです。
- EU (アイルランド)
- 米国東部 (バージニア北部)
- 米国東部 (オハイオ)
- 米国西部 (オレゴン)
次回は
EFSは高パフォーマンス・高可用性が期待できるサービスなのですが、使用できるリージョンに制限があるため、東京リージョンのVPCでは恩恵がうけられないということがわかりました。なんだか残念ですが、今後東京リージョンに実装されたときに、スムーズに移行できるよう準備しておきたいものですね。
次回は実際にAmazon EFSを使用して使い勝手を検証してみたいと思います。